バスルームでの転倒事故は、家庭内事故の中でも特に深刻な問題となっています。特に高齢者や身体に不安を抱える方にとって、滑りやすいユニットバスは危険な場所の一つです。そんな不安を解消する有効な手段が「手すりの後付け」ですが、「どうやって取り付けるの?」「費用はどのくらいかかる?」「DIYでもできるの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、ユニットバスの手すり設置には、安全性を確保するための重要なポイントがいくつもあります。壁の下地確認を怠ると手すりが外れて大変危険ですし、設置位置や素材選びを間違えると、せっかく取り付けても使い勝手が悪くなってしまうことも。
この記事では、ユニットバスに手すりを後付けする際に知っておくべき基礎知識から、DIYと業者依頼の判断基準、費用相場、さらには利用できる補助金制度まで、実際の施工で失敗しないための情報を網羅的にお伝えします。安全で快適なバスタイムを実現するために、ぜひ最後までご覧ください。
1. ユニットバスの手すり後付けで絶対に押さえておきたい基礎知識

ユニットバスに手すりを後付けする際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。これにより、安全かつ効果的に手すりを設置することができます。
手すりの重要性と設置の背景
ユニットバスは滑りやすい環境であるため、転倒のリスクを軽減するために手すりは非常に重要です。高齢者や身体に障害のある方にとって、手すりがあることで入浴時の安心感が大きく向上します。もちろん、手すりが適切に設置されていないと、逆に危険な状況を生み出しかねません。
設置前の準備
手すりを後付けする前に、以下の点を確認しておくことが大切です。
壁の下地確認: 手すりを固定するためには、壁内部の構造を理解しておく必要があります。下地がない場所や脆い部分に取り付けると、手すりが外れたり、壁を傷めたりする危険があります。
適切な工具の準備: ドリルやビス、アンカーなどの適切な工具を準備しましょう。特に、下穴のサイズや位置が重要です。
取付ガイドの確認: 手すりにはメーカーごとに施工マニュアルがあります。これに従うことで、確実な取り付けが可能です。
壁材の種類
ユニットバスの壁材は以下のように主に分けられます。この壁材の種類によって、取り付け方法や注意点が異なります。
化粧鋼板(鉄板)
– 磁石がくっつくことが目安
– ビスでしっかりと固定可能フレキシブル板(セメント板)
– 磁石がくっつかない場合が多い
– 中空壁ねじセットを使うと強固に固定できるタイルもどき
– 一見タイルだが固いものである可能性が高い
– ダイヤドリルを使うことで作業効率が向上する
安全基準の確認
手すりを選ぶ際は、安全性・強度試験をクリアした商品を選定することが必要です。また、商品の取扱説明書に記載された取り付け手順を厳守することも重要です。これにより、手すりが不安定になることを防ぎ、安全に利用することが可能になります。
注意すべき具体的なトラブル
手すりの取り付け時に注意すべきトラブルとして、以下のような点があります。
- 下穴を大きく開けすぎる: 適切なサイズでない穴を開けると、ビスが効かなくなる可能性があります。
- 取り付け位置の間違い: 壁の補強材の位置を避けずに穴を開けてしまうと、思わぬトラブルが発生します。
これらの基本的な知識を持つことで、後付けの手すりを安心して取り付ける準備が整います。
2. 壁の下地確認を怠ると危険!強度不足による失敗例と見分け方

ユニットバスに手すりを後付けする際には特に注意が必要です。その中でも重要なのが、壁の下地確認です。下地の状態を確認せずに手すりを取り付けると、強度が不足していて事故の原因となる恐れがあります。以下では、よくある失敗事例とその判別方法を詳しく紹介します。
壁下地がない場合のリスクと失敗例
手すりは利用者の体重を支えるためにしっかりとした下地が必要です。下地が適切でない場合、以下のようなリスクが発生します:
- 手すりの脱落:下地が不十分な状態で取り付けた手すりは、加重に耐えられず外れる可能性があります。
- タイルの損傷:下地がない部分に無理にビスを打つと、タイルが割れてしまうことが多く見られます。
- 水漏れやカビの発生:固定が不適切な場合、水漏れの原因となり、カビや腐食が進むことがあります。
これらの問題は、修理に高額なコストがかかるうえ、健康面でもリスクを伴います。そのため、手すりを設置する際には慎重な確認が不可欠です。
下地の確認方法
壁の下地があるかどうかを確実に確認する方法は多くあります。以下の手段を使って、下地の状況を正確に把握していきましょう。
図面や施工説明書をチェック
施工時の図面や説明書には、壁の下地がどのように設計されているかの情報が含まれています。軽くノックする
壁を軽くノックすることで、音の違いから下地の存在を判断できます。音が高い場合、下地がない可能性が高まります。目視確認
壁の端や裏側を確認し、下地が見えるかどうかチェックします。金属材や木材が見える場合、しっかりした下地があることが確認できます。専用のセンサーを使用
市販されている下地確認センサーを活用することで、金属や木材の下地の有無を正確に調べることが可能です。
これらの確認手段を用いることで、壁の内部構造を理解し、手すりを適切に取り付けるべき位置を見つけることができます。
下地の強度確認ポイント
下地が見つかった場合でも、その強度が不十分でないかを確認することが重要です。以下の点に留意してください:
下地材の種類
使用されている下地材が木材か金属であるかによって、耐久性が異なります。最近のユニットバスでは、軽量化のため薄い下地が使用されることが一般的です。劣化のチェック
下地が古いと腐食や強度低下が生じる可能性があります。水回りは特に湿気が多く、劣化が進みやすいため注意が必要です。
これらの確認作業を怠ると、手すりの設置が簡単に感じられるかもしれませんが、重大な事故を引き起こす可能性があります。したがって、設置作業を開始する前に、必ず壁の強度をチェックすることが求められます。
3. DIYと業者依頼、どっちを選ぶ?メリット・デメリットを徹底比較

ユニットバスに手すりを取り付ける際、DIYで行う方法と専門業者に依頼する方法の両方が考えられます。それぞれには一長一短があるため、どちらの方法を選ぶべきかは個々の状況によります。ここでは、両者のメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
DIYのメリット
コスト削減
DIYでは、業者に依頼する場合に比べて大幅にコストを抑えることが可能です。材料や工具のみを購入すればよく、 labor費がかかりません。達成感
自分の手で手すりを設置することで、達成感を味わえます。特に、自宅の改良を自分で行うのは満足感を得るひとつの方法です。自由なスケジュール
自分のペースで作業できるため、忙しい方でも時間に縛られずに進めることができます。
DIYのデメリット
リスクと失敗
知識や経験が不足している場合、施工ミスによる事故やトラブルが発生する可能性があります。特に、壁材を傷つけたり、手すりがしっかりと固定できないと重大な事故につながることも。正確な判断が求められる
壁の下地材の有無や、適切な固定方法を見極める必要があります。これを誤ると、大きな修正が必要になることがあるため、注意が必要です。時間がかかる
専門知識がない場合、作業に時間がかかることが多く、結果的に効率が悪くなることがあります。
業者依頼のメリット
安全性の確保
経験豊富な専門業者による施工は、安全で確実です。法律や規制に基づいた適切な工法に従って作業を行うため、安心して利用できます。仕上がりのクオリティ
プロに依頼することで、見た目も機能も高品質の仕上がりが期待できます。特に、手すりの位置や固定方法についても、専門的な知識に基づく提案が受けられます。アフターサービスの充実
施工後のトラブルにも対応してくれる業者が多く、万が一の際にも安心です。
業者依頼のデメリット
コストが高くなる
専門業者に依頼する場合、どんなに安くても一定の費用が発生します。特にリフォーム業者は手数料がかかるため、予算に影響を与えることがあります。時間がかかる場合がある
業者のスケジュールに合わせる必要があり、希望する日程が空いていない場合、思ったよりも施工までに時間がかかることがあります。業者選びの難しさ
信頼できる業者を見つけるのは簡単ではありません。口コミや評判を元に選定する必要があり、比較には時間と手間がかかります。
これらのメリット・デメリットを風に、自身の技術力、予算、時間に応じて最適な選択を行うことが大切です。どちらの方法にも一長一短があるため、自分に合った方法を考えてみてください。
4. 設置位置と素材選びで後悔しないための具体的なチェックポイント

ユニットバスに手すりを後付けする際、設置位置や素材選びは非常に重要なポイントです。適切でない選択をすることで、安全性が損なわれる恐れがあります。このセクションでは、手すりの設置位置や素材選定に関する主要なチェックポイントを詳しくご紹介します。
設置位置の重要性
手すりを取り付ける際に考慮すべき設置位置について、各ポジションのメリットとデメリットを知ることが大切です。
- 浴槽の縁
- 主な用途: 浴槽への出入りのサポート
- 利点: 体重をしっかりと支えられ、利用しやすい。
注意点: 安全に取り付けるためには、しっかりとした下地が必要であり、壁構造によっては設置に不具合が生じることがあります。
浴槽またぎ
- 主な用途: 脚を上げて浴槽をまたぐための援助
- 利点: 転倒リスクが高いシチュエーションにおいて非常に効果的です。
注意点: 水分で滑りやすくなるため、下地の強度確認が不可欠です。
出入口
- 主な用途: 脱衣所や洗濯場への移動を助ける
- 利点: 特に高齢者や身体に不安のある方にとって、非常に役立ちます。
注意点: ドアやその他の障害物との干渉に事前に注意が必要です。
洗い場
- 主な用途: シャワー時のサポート
- 利点: 浴槽外での転倒を防ぐ効果があります。
- 注意点: タイル壁に取り付ける際は、強度を確保するためにアンカー使用が推奨されます。
素材選びのポイント
高湿度の浴室環境を考慮し、適切な素材選定が求められます。
耐久性: 湿気や水分に対して防水性があり、丈夫なステンレスや樹脂製の手すりが理想です。
滑り止め加工: 表面に滑り止め加工が施された素材を選ぶことで、濡れた手でも安心してグリップできるデザインが望ましいです。
メンテナンス性: 掃除がしやすく、カビの発生を防ぎやすい素材を選ぶことが、長期間の使用において非常に重要です。
美観とのバランス: 手すりのデザインは、浴室のインテリアスタイルに調和するものを選ぶことで、全体の雰囲気がさらに魅力的になります。
その他のチェックポイント
強度と安全性: 取り付け前に壁の下地をしっかり確認し、正しいアンカーを使用することで、手すりの安全性を確保します。
将来的な使用を考慮: 将来的な使い方を考え、設置位置や本数を計画することは重要です。介護のニーズが生じる可能性もあるため、多様な動きに対応できる設計を心がけましょう。
このように、正しい設置位置と素材の選定を行うことで、ユニットバスに手すりを安心して後付けすることができ、利用者の安全性や快適さを高めることが可能です。
5. 気になる費用相場と使える補助金制度を詳しく解説

ユニットバスに手すりを後付けする際には、関連する費用や補助金制度をしっかりと把握しておくことが不可欠です。ここでは、手すり設置に必要な費用の相場や、利用可能な補助金制度について詳しくご説明します。
手すり設置の費用相場
ユニットバスに手すりを後付けする場合、その費用は手すりの種類や設置場所、施工方法によって変わります。以下が一般的な費用の目安です。
- 手すり本体代:8,000〜20,000円
使用する素材やデザインによって価格は変動します。さまざまなメーカーの製品を比較して、理想的な手すりを見つけることをおすすめします。
施工費:20,000〜50,000円
施工内容や業者の技術により、工事料金は異なる可能性があります。特に、下地の強化が必要な場合は、追加費用が発生することもありますので、事前に確認が必要です。
総計:28,000〜70,000円
- 手すり設置にかかる総費用は、選ぶオプションによって大きく変わるため、いくつかの業者から詳細な見積もりを取得することが重要です。
手すりの後付けは一見経済的に思えるかもしれませんが、実際の見積もりを基にした具体的な理解が求められます。
利用可能な補助金制度
手すり設置のコストを抑えるためには、各種補助金制度を利用するのも賢い方法です。以下に代表的な制度を紹介します。
1. 国からの補助金
国土交通省や厚生労働省が実施している「高齢者住宅改修支援制度」や「バリアフリー化支援事業」などがあります。地域によって補助の対象が異なるため、最新情報を常に確認することが重要です。
2. 自治体からの補助金
各自治体では、高齢者向けのリフォーム補助金を用意しています。支給額や条件は地域によって異なるので、自分の住んでいる地域の役所や公式サイトでの確認を推奨します。
3. 介護保険の住宅改修制度
要支援または要介護認定を受けている方は、介護保険を通じて補助を受けることが可能です。工事の上限は20万円までで、7〜9割の補助が受けられます。申請にあたっては、ケアマネージャーへの相談と、事前の手続きが必要になります。
補助金制度の申請ステップ
ケアマネージャーに相談
– 住居の改修必要性について相談し、準備すべき書類のチェックリストを作成します。必要書類を準備
– 工事の見積書や改修前の写真、改修理由書など必需品を収集します。事前申請
– 書類が整ったら、役所に提出します。工事実施
– 政府からの承認を受けた後に施工を進めます。給付申請
– 工事完了後に、領収書や完了報告書を役所に提出して補助金の支給を申請します。
これらの補助制度を効果的に活用することで、手すり設置にかかる費用の負担を大幅に軽減することができます。
まとめ
ユニットバスに手すりを後付けする際は、安全性と利便性を両立させるための重要なポイントがいくつかありました。壁の下地確認、適切な設置位置や素材選択、さらには費用面での補助金制度の活用など、入念な事前準備が欠かせません。これらのチェックを踏まえることで、安心して手すりを設置し、高齢者や障がいのある方の生活の質を向上させることができます。ユニットバスの改修は大切な取り組みですので、専門家のアドバイスを得ながら、自分に合った方法を選択しましょう。
よくある質問
ユニットバスの手すりを後付けする際の注意点は何ですか?
手すりを後付けする際は、まず壁の下地を確認し、適切な取り付け方法を検討することが大切です。下地がない場合や強度が不足していると、手すりが外れたり壁が損傷する可能性があるため、十分な安全性を確保する必要があります。また、手すりの素材や設置位置にも注意を払い、浴室環境に合った製品を選ぶことが重要です。
DIYと業者依頼、どちらの方が良いですか?
DIYでは費用を抑えられる一方で、リスクや時間がかかる可能性があります。一方、業者に依頼すれば安全性が高く、仕上がりのクオリティも期待できますが、費用がかかります。個人の予算、技術力、時間的余裕などを考慮しながら、適切な選択をすることが重要です。
手すりの設置位置はどのようなところがおすすめですか?
手すりの設置位置は、利用者の動きを考慮して決める必要があります。浴槽の縁、浴槽まわり、出入口、洗い場など、利用シーンに合わせて適切な位置を選ぶことが重要です。各設置場所のメリット・デメリットを理解し、安全性と使いやすさのバランスを取ることが求められます。
手すりの設置にはどのくらいの費用がかかりますか?
手すりの設置費用は、手すりの素材やデザイン、施工方法によって大きく異なります。一般的な目安としては、手すり本体が8,000~20,000円、施工費が20,000~50,000円程度となっています。ただし、壁の下地強化が必要な場合などは追加費用が発生する可能性があります。また、各種補助金制度を活用することで、費用の負担を軽減できる場合もあります。

